2024年10月12日土曜日

秋はどこへいった

秋はどこへ行ったんだろう。「夏って昔はこんなに暑くなかったよな」と毎年思うのと同じくらい、「秋って年々短くなっているよな」と毎年この季節になると思う。私は秋生まれなので、ってわけでもないが、季節の中では昔から秋が一番好きなのだ。なのに、夏がいつまでも悪あがきをしやがって、10月に入ってもずるずる気温の高い日々が続く。そのうち大きな台風が連続でやってきて、ようやく去ったなやれやれと思ったら、そこにはいきなり冬が立っているんである(立冬)。これが最近の気象パターンなので、「え?あれ?」という間に秋は終わってしまっている。楽しむことができない。秋の思い出は、10月10日が「体育の日」で祝日だったあの頃に集約されていて、そのあとはあまり思い出すことがない。神社の境内で黄色くなったイチョウの葉っぱを拾ったこととか、めちゃくちゃ練習させられた運動会用の組体操のBGMとか(その昔、運動会は秋の風物詩だった)、友達とおしゃべりしながら背中に感じてた秋の日差しのあたたかさとか。もう遠い昔だ。

そしてこの短い秋がはじまると、なぜだか不思議と岩崎宏美さんが聴きたくなる。別にファンだったわけではないが、大人になってこの人の歌を改めて聴くと、その恐ろしいまでの見事な歌唱力に愕然とする。私はストレートなラブソングの(あの頃の歌謡曲ってほとんどそうだけどさ)「未来」という曲が好きなんだが、一回聴いてみるといい。この曲をリリースした時、彼女は18歳だったのだ。とてもじゃないが、10代の歌唱力ではない。(もちろん作詞・作曲は 阿久悠先生と筒美京平大先生のゴールデンコンビ。そして歌詞の内容もいろいろな意味で愕然とさせられる。今なら炎上必至だ。)伸びやかで透明感のある声は、秋の高く澄んだ青空を思い起こさせる。そのイメージが強いので、Spotifyでもつい、聴き入ってしまうんである。

「♪あ~、あ~なたの未来はぁ、わたしぃ~とぉ~おなじ~♪」と、腹の上でねそべっている猫族に歌いかけながら、「ハロインのクッキーは魚グリルでも焼けるのか」を検索する、短い秋の一コマなのであった。

2024年6月21日金曜日

おためし期間

最近のこのブログの投稿には、英語版が付いているものがある。お試し的に翻訳したものを掲載しているのだが、このための翻訳作業は結構興味深い。最近のAI翻訳は本当に精度が高くなってきていると実感する。

翻訳のほとんどは、有名なDeepL先生(尊敬のあまり先生と呼んでいる)に頼っている。全文をコピペするとあっという間に英語に翻訳してくれる。だがしかし。ここには落とし穴がある。日本語というのは、主語が明確でないことが多々ある。翻訳・通訳の際は、その表に出てこない、暗黙の了解の主語を、翻訳者なり通訳者なりが補足しなくてはならない。そうしないと、文法的にも意味的にも齟齬が出て、前後の文章との整合性がとれなくなってしまうからだ。さすがのDeepL先生も、毎回正しく推察してくれるわけではない。これは人間がチェックするしかない。でないと、文法的にミスはないが、全体的に何言ってるかわからない不思議な文章が出来上がってしまうからだ。

でもって、ひととおりロジックに破綻がないと思われたら、今度はこれを同じDeepL先生のリライト部門に見てもらい、よりナチュラルな英語に修正してもらう。これがかなりレベルが高いので、勉強になる。日本語頭で書いた英語は、とても回りくどい言い回しになったりすることがしばしばある。関係代名詞のwhichとかthatとかを多用して情報を詰め込んでしまいがちだからだ。そういう箇所をDeepL添削先生はすっきりとした英語頭の文章に修正してくれるのだ。

以前はGr~lyを使っていたんだが、あそこは高レベル添削が有料なので、今はもっぱらDeepL先生に頼っている。ただし、L先生のほうは1日の利用回数に制限があり、夢中になって何度も翻訳やリライトをしていると、途中で使用できなくなる場合もあるので気をつけないといけない。

面白いことに、L先生にリライトしてもらったものをGr~lyでチェックすると、総合的な点数がかなり低くなる。どういったタイプの文体にするかの設定にもよるのだが(ビジネス、学術的、一般的、などがある)、毎回概ね10ポイント近く、評価が落ちる。もしかしたら、GさんはL先生を快く思っていないのかもしれない。平静を装ってはいるが、GさんはL先生を、実はめっちゃライバル視しているのかもしれない。まあ、両方ともAIなんだけどね。

それにしても技術の進歩はめざましい。大昔のオンライン翻訳が、たとえば「spring has come(春が来た)」を「バネ持って来い」と訳したとしても、「うむ、通常運転」と思えるほどの凄まじいレベルだったことを覚えている私としては、感慨深いものがあるのだった。